『アプトの道』完全攻略。晩秋の紅葉と共に碓氷峠の歴史を感じながら廃線跡を歩く

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以前執筆した『ぶらり秋の軽井沢散策。見頃を迎えた紅葉と食べ物と気になった雑貨屋さん』の続き。アプトの道は、前回碓氷峠の「めがね橋」に訪れた際に偶然見つけた遊歩道で、なかなか面白そうだったのだけど、時間の関係で散策することが出来なかったので、今回リベンジということで再び訪れた。

関連記事:軽井沢らしい自然溢れる美しい「ムーゼの森」と碓氷峠の「めがね橋」の歴史に触れる

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アプトの道の概要と服装

所在地安中市松井田町横川・坂本地内(最下部のマップは出発地点の横川駅駐車場
アクセス電 車:横川駅より徒歩3分
自動車:上信越自動車道松井田妙義ICより車7分
営業時間24時間(アプトの道トンネル内の照明は午前7時から午後6時点灯)
駐車場横川駅(20台)碓氷湖(30台)めがね橋(29台)熊ノ平(30台)全て無料
紅葉の見頃11上旬〜中旬

アプトの道とは、群馬県安中市にある鉄道(旧国鉄信越線)の廃線跡を再利用した遊歩道。
JR東日本の信越本線の横川駅から遊歩道が始まり「丸山変電所」や「峠の湯」「碓氷湖」や「めがね橋」などを経由して現在では「旧熊ノ平信号場(旧線廃止当時は熊ノ平駅)」まで通行可能となっている。

相変わらずのダンジョン感にドキドキ
アプトの道には10個のトンネルがある

因みに遊歩道とはいえ、ほとんどの道が舗装されていたり傾斜もなだらかなので、特別トレッキングシューズやアウトドアな服装などは必要ないように感じた。ただし、片道6km(所要時間約2時間)は歩くことになるので歩きやすい靴であることは必須

また安中市がアプトの道の詳細なマップを掲載してくれているので是非とも参考にして欲しい。

アプトの道の出発と到着を決めて帰りはバスで戻ってくる

アプトの道の出発から到着までの「横川駅〜熊ノ平」間を運行する非常に有り難いバスがある。それを念頭の置いて出発地点を「横川駅」にして、ゴールの「熊ノ平」からバスに乗ることにした。このバスを利用すれば遊歩道を往復せずとも戻ってこれるという訳だ。

逆に「横川駅」から「熊ノ平」までのバスも運行しているので、逆のルートで散策することも可能。ただ今回僕の周ったコースの方が最終バスの時間が遅い為、のんびりできるという理由でこちらを選んだ。因みにバスの運行時間や運行時期などはこちらから。

熊ノ平駅から階段を降りるとバス停に行ける
熊ノ平駅から階段を降りるとバス停に行ける

そして最も注意してほしいのが運行時期と運行本数の2点運行時期については上記のリンクで確認できるので、利用する場合は目を通してほしい。また運行本数の注意点は、1日のバスの本数が3~4本しか運行していないこと。これを逃すと再び徒歩で引き返さなければいけなくなるので、必ず運行時間は確認することをオススメする。こちらもリンク先で確認できる。

またバスの混み具合については、ガラガラで乗ってくる人も全く居なかったので、安心してもらっても良いかもしれない(なんかの理由でバス満席で乗れなかった時は…すみません)。因みに料金は300円くらいだったような気がする。

今回のアプトの道の出発地点は横川駅

今回は横川駅から出発し、熊ノ平をゴールとしてバスに乗り、横川駅に戻ってくるように巡った。横川駅には20台ほど無料で停められる駐車場があるので、そこへ駐車し、アプトの道へ向かう。ここの駐車場からアプトの道入り口は徒歩1分くらい(最下部の地図を参照)。

出発して10分くらいは民家の間を通って行くので、序盤の方は遊歩道を歩いている感じは全くしない(笑)

朝日を待つ役目を終えた電車
朝日を待つ役目を終えた電車

アプトの入り口付近に展示されている古い車両。付近に古くなって役割を終えた電車を展示する電車のテーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」があり、これから出発する僕らを見送ってくれているようだった。

因みにアプトの道の由来は、19世紀末の登山鉄道の最先端技術でもあったアプト式鉄道がこの地で採用されたことに因んでいると思われる。

アプトの道からもその一部が見える
アプトの道からもその一部が見える

碓氷峠鉄道文化むらを横目に歩いていると、いつの間にかに民家は無くなっていて遊歩道らしくなっていた。とにかくまっすぐ延びる遊歩道をひたすら歩く。

廃線跡と現役線路
廃線跡と現役線路

分かりやすいほどの廃線跡。現在ではすぐ隣に敷かれた線路に現役の電車が運行している。今でも当時使われていたであろう機器が残されており、苔や埃が被っておりどこか哀愁を感じる。

会社か学校だろうか
会社か学校だろうか
静かに照らされる高架下
静かに照らされる高架下
巨大な影
巨大な影

昔アプトの道を運行していた旧国鉄信越線は登山鉄道である為、ここの遊歩道も徐々に山へ向かっていく。歩を進めると景色は家などの建造物が少なくなり、徐々に山や森といった自然に囲まれていく。

碓氷峠の繁栄に貢献した国重要文化財『旧丸山変電所』

出発地点の横川駅から歩いて30分、立派な煉瓦造りの建築物が見えてくる。国重要文化財にも指定されている旧丸山変電所』だ。

山の中に突然現れる国重要文化財
山の中に突然現れる国重要文化財

1912年(明治45年)に碓氷峠区間の電化時に建設されたこの変電所は、1963年(昭和38年)にアプト式が廃止になるまで山の中で稼働し続けた。その後40年ほど放置されてしまうが2002年に修復工事が行われ現在に至る。

外装の状態からも長い時間の経過を感じる
外装の状態からも長い時間の経過を感じる

堪らなくないですかこの雰囲気。前回アプトの道を訪れた時はここのことを知らなくて、この変電所に来たいが一心で今回アプトの道完全攻略に踏み行ったと言っても過言でない。ということで一応ここが今回の旅の僕にとっての目玉スポット。

悠久の時間の中で陽を見るのは何度目なのだろう…
悠久の時間の中で陽を見るのは何度目なのだろう…
堂々とした正門に圧倒される
堂々とした正門に圧倒される
変電所の裏側
変電所の裏側

修復工事がされたと言えど、完全復旧ではなかったのか、建物の裏側はだいぶ朽ちていた(とは言え修復工事ももう20年前の話なんだけど)。そのお陰で中の様子がチラリ見える。しかし柵がある為、中には入れないので悪しからず。

西洋文化を取り入れ始めた明治時代の建造物に歴史を感じる
西洋文化を取り入れ始めた明治時代の建造物に歴史を感じる
反射した外の木が建物内に生えているようで面白い
窓のガラスに反射した外の木が建物内に生えているようで面白い
何千何万と職員を迎えたであろう正門前の階段何千何万と職員を迎えたであろう正門前の階段
何千何万回と職員を迎えたであろう正門前の階段
まるやま駅にて植物にも行く手を阻まれる
まるやま駅にて植物にも行く手を阻まれる
誰も居ない山奥の遺構で歴史に触れる
誰も居ない山奥の遺構で歴史に触れる
まだ後世へ歴史の語り部としての役割が残されているようだ
まだ後世へ歴史の語り部としての役割が残されているようだ

早朝から散策している所為か分からないけど、人が全く居ないのも良い。チラホラと遊歩道を歩いている人は居るけど、このスポットで長居する人も居ないのでゆっくり撮影することが出来た。

とりあえずアプトの道は始まったばかり。僕の感想ならまだまだ幾らでも出せるくらい良いロケーションではあったが、先が長いので「旧丸山変電所」はここまで。

「峠の湯」で一息つくのも良いかもしれない

旧丸山変電所からもう少し歩くと「峠の湯」という日帰り温泉施設があるので、一息つくにはまさに絶好の場所だ。大体横川駅から徒歩で60分くらい。

ここに来てようやく紅葉を見ることが出来た
ここに来てようやく紅葉を見ることが出来た

実は出発時に紹介した「碓氷峠鉄道文化むら」から「峠の湯」まで電車が通っている。なので徒歩1時間も掛けずとも、電車でここまで来ることも可能。また「峠の湯」には駐車場があるので、車で来ることもできる。

鉄道文化むらから峠の湯までを運行するトロッコ列車
鉄道文化むらから峠の湯までを運行するトロッコ列車

「峠の湯」では日帰り温泉や食事、休憩などができる。生憎帰りのバスの時間が決まっていた為、今回は利用しなかったのだけど、外にトイレもあるので有り難く拝借した。長時間のハイキングが難しい子供や高齢者に嬉しい施設だと思う。

アプトの道で10箇所あるうちの最初のトンネルをくぐり碓氷湖へ
アプトの道で10箇所あるうちの最初のトンネルをくぐり碓氷湖へ

紅葉が美しく色付く人造湖「碓氷湖」

見どころが多いアプトの道だが、その中でも最も紅葉美しかったのは「碓氷湖」だった。時間の関係で湖を1周することは出来なかったけれど、湖畔まで行ってみたので、雰囲気だけでも伝えられたらと思う。因みに、横川駅から徒歩で70分くらい。

アプトの道から見下ろす「碓氷湖」
アプトの道から見下ろす「碓氷湖」

今回は湖を周回することは出来なかったけれど、湖畔の散策道が約1.2kmなので、徒歩で大体20分ほどで1周できるらしい。湖に赤い大きな橋が2つあり、紅葉の色と良く合う。

人が少なく閑静な雰囲気が漂う
人が少なく閑静な雰囲気が漂う
赤く染まる碓氷峠の紅葉
赤く染まる碓氷峠の紅葉
急カーブと急勾配に御用心
急カーブと急勾配に御用心

因みにアプトの道からの徒歩以外にも、車でも湖まで行くことが出来る。駐車場も約30台ほど駐車できるスペースがある。

アプトの道で碓氷湖が最も自然豊かなスポットだった
アプトの道で碓氷湖が最も自然豊かなスポットだった
モダンな雰囲気漂うトンネルの先には…
モダンな雰囲気漂うトンネルの先には…

明治時代の建築技術と文化を感じる国内最大級のアーチ橋『めがね橋』

碓氷湖を過ぎ、幾つかトンネルを潜るとアプトの道で1番の観光名所でもある『めがね橋(碓氷第三橋梁)』に辿り着く。大体横川駅から徒歩100分くらい。ようやく前回立ち寄った場所まで辿り着いた。

再び辿り着くめがね橋
再び辿り着くめがね橋

冒頭に掲載している前回訪れた時の記事の内容と重複してしまうけれど、一応今回も「めがね橋」について解説していこうと思う。

めがね橋(碓氷第三橋梁)は1893年(明治26年)に竣工し、1963年(昭和38年)に廃線となった。現存するレンガ造りの橋の中でも最大の大きさであり、当時の建築技術と文化、その美しい外観から国指定重要文化財に指定されている。

高さは31m。普通に怖い高さ
高さは31m。普通に怖い高さ
平成9年に廃止された信越本線の一部
平成9年に廃止された信越本線の一部

チラホラと紅葉は残っていたけれど、大部分は終わってしまっていた。一応紅葉の見頃である11月中旬に訪れたのだけれど、それでも遅かったようだ。碓氷湖の紅葉は丁度良い色付き具合だっただけに、標高差もあるので時期を読むのが難しい。

前回ここは時間を掛けて観光したので、今回はそこまで時間は掛けなかった(その分旧丸山変電所でだいぶ時間を使ってしまったが)。因みに「めがね橋」のアクセスとしては、アプトの道からの徒歩以外にも車で来ることも可能。

幻想的で美しいアプトの道の隠れた写真スポット『6号トンネル』

前回めがね橋の観光でたまたまアプトの道を知ったのだけれど、その時偶然発見した写真スポットが『6号トンネル』だ。アプトの道ではトンネルが10個もあって、どのトンネルか分からなくなると思うので、冒頭にも掲載したアプトの道のマップを参照すると分かりやすい。

めがね橋から熊ノ平方面に10分くらい歩けば辿り着くのだけど、殆どの人がめがね橋の観光で終えてしまう所為か、人が全然居ないので撮影もしやすいのもオススメポイント。

やっぱりここの光は良い
やっぱりここの光は良い

映えスポットまでは言わないけれど、良く目を凝らして見てみると光が美しかったりするので、写真が好きな人には是非足を止めてほしい場所。季節や時間によっては、天井からも光が差し込んでくる。

ポトレとの相性は抜群だと思う
ポトレとの相性は抜群だと思う

長い道のりお疲れ様でした。アプトの道の終着点『熊ノ平』

横川駅から出発しておおよそ120分、終着地点である熊ノ平(旧熊ノ平信号場)に到着。元々は熊ノ平駅があった場所で、軽井沢駅までの経由地となっていた。

過去に使用されていた廃線が今も尚取り残されている
過去に使用されていた廃線が今も尚取り残されている
ホームも残されており、駅であったことが確認できる
ホームも残されており、駅であったことが確認できる
役目を終えた変電所もそのまま残されている
役目を終えた変電所もそのまま残されている

熊ノ平自体は特に何も無かった。残された設備を見て、旧国鉄信越線の歴史を感じることくらいだろう。最後の写真をまっすぐ進んで右折すると階段を降りられるので、その先にバス停と駐車場がある。

また冒頭にも記載した通り、この熊ノ平にも駐車場があるので、ここからスタートして、僕が進んできた逆のコース周りで散策して、横川駅からバスに乗れば戻ってこれる。

一応今回のアプトの道の旅はこれでお終い。一つの記事としてはそれなりのボリュームになってしまいすみませんでした。最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。

まとめ

山なので、勾配はあれど階段なども殆ど無いので非常に歩きやすい遊歩道だった。めがね橋の紅葉に関しては11月中旬では遅いことが判明したので、もし紅葉が見たいのであれば上旬あたりをオススメしたい。人もそこまで多く無い為、のんびり散策できるし、何より国重要文化財などの碓氷峠の歴史に触れながらの廃線散策はとても楽しかった。

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