昨今、進化し続けるカメラメーカーの技術のお陰で、カメラレンズは年々精度が向上している。色や明るさの収差補正、フォーカス、手ぶれ補正や接写と挙げればキリがない。フィルムカメラ時代に使われていたマニュアルレンズ(オールドレンズ)よりも格段に使いやすモノになっている。
仕組みから作りまでの大部分が違う為、オールドレンズでは撮影出来ないモノも現代のレンズなら撮影出来たりする。ただ、逆に言い換えてしまえば、オールドレンズでしか撮影出来ない…と言うのは少々大袈裟だが、オールドレンズ特有の写真の仕上がりなどがある。
今回使用するのはASAHI PENTAX(アサヒペンタックス)の『Super Takumar(スーパータクマー) 55mmF1.8』というオールドレンズ。作例を紹介しつつ、このレンズがどんなレンズなのかレビューしていこうと思う。
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Super Takumar(スーパータクマー) 55mm F1.8
1960年代に国産メーカーのアサヒペンタックスから販売されたレンズ。当時「世界一売れた」とも言われた「ASAHI PENTAX SP」とセットで売られていた事もあり、市場では数多く出回っている。
しかし、オールドレンズブームという事もあり、中でも指折りの人気を誇るこの「Super Takumar 55mm F1.8」は状態が良ければ即完売する程に人気。美品クラスの状態を探すのであれば、タイミングによっては一苦労するかもしれない。
人気の由来は良くボケるし、よく写る。その割には廉価に購入できるからだろう。現代のレンズはカリカリだが、このレンズは光を柔らかく表現してくれる為、フワ〜とした透明感のある描写となる。2020年5月現在、価格はジャンク品なら3000円前後、美品なら12000円前後で購入できる。
スーパータクマーシリーズのレンズマウントはM42スクリューマウント。この規格のマウントはオールドレンズの代表的なマウントで、数多くの名レンズのほとんどはM42スクリューマウントだ。オールドレンズを検討しているのであれば、価格も安価に購入できるので一つ持っておいても良いかもしれない。
またメーカーやカメラごとにマウントが販売されているので、自分のカメラを確認したうえで購入する事をおすすめする。
※下リンクはSONY NEXシリーズ aシリーズ用のマウント
Super Takumar 55mm F1.8の前期型と後期型の違いと類似レンズ
少し地味な話になってしまうが、大事な話なので購入を検討されている方は必ず目を通してほしい。
Super Takumar 55mm F1.8には「前期型と後期型」と「類似レンズのSMCタクマー」が存在する。今回僕が紹介しているレンズは前期型のモノ。後期型のレンズとSMCタクマーは別物になるので注意していただきたい。
後期型のレンズはアトムズレンズ(放射能レンズ)を採用したレンズ。名前だけ聞くと恐ろしいが、使用していても身体には何も支障は無いと言われているので、名前の部分は問題なし。
だがアトムズレンズの難点は、経年劣化によりレンズが黄ばんでしまう事。レンズが黄色く変色してしまえば、撮る写真も黄色っぽい仕上がりになってしまう。絞りリングに記されている製造番号の配列などで、前期型と後期型を見分ける事もできるが、心配であれば販売元に確認した方が無難だろう。
また類似レンズで「SMCタクマー」を間違って「Super Takumar」と掲載して出品しているモノもたまに見かける。見た目こそは似ているものの、SMCタクマーはSuper Takumarの後に開発された全く別のレンズ。
見分けるのは簡単で、絞りリングに堂々とSMCタクマーと記されている。このような知識の無い人が出品している事もよくある事なので、購入する際には必ず確認してほしい。
作例
今回のカメラはSONYの 「a7Ⅲ」を使用する。実際の雰囲気やフレアやゴーストといったオールドレンズ特有の面白さを伝えるべく作例を紹介していく。
写真界隈では元々フレアやゴーストは俗に言う「失敗作」として扱われていましたが、ここ数年オールドレンズの価値観が変わった事で、写真家たちの印象も変わりつつある。現代のカメラでは表現できないので、そういう意味で個人的には嬉しい話。
まとめ
作例で雰囲気は伝わりましたでしょうか。名玉レンズという事だけあり、背景はボケる、明るく写る、鮮やかでクラシカルな表現にできる、と撮影していて楽しいレンズだった。大雑把だがオールドレンズの購入を悩んでる方は、とりあえずこのレンズから入ると楽しめるように感じる。現代のレンズとは一味違った撮影がしたいという方に是非おすすめしたいレンズだ。
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