【作例・レビュー】SONY FE 135mm F1.8 GMのとろけるようなボケ味と圧倒的な描写力

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去年あたりからポートレートが気になっていた。

今まで好きな写真は何か聞かれると、迷わずスナップと答えていた。細かいジャンルで言い出すとキリがないかもしれないどれど、少なからず、今まで僕に影響を与えてきた写真は、スナップ写真が多いのは間違いない。

そんな好みなもので、カメラを始めて長い間、ポートレートを意識せずにここまで来てしまった訳だが、ようやく去年あたりから興味を持ち始めることができた。しかし人物を撮るにも、見合ったレンズが手元にない。

とりあえず形からということで、大口径望遠単焦点レンズである、SONY『FE 135mm F1.8 GM』を購入した。前々からこのレンズの話は聞いていたが、良い意味で想像以上にヤバいレンズだったので、作例と共に紹介していく。


関連記事:【作例・レビュー】SONY FE 35mm F1.4 GMの美しい描写力と高い機動力を両立させたレンズ

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SONY『G MASTER(GM)』シリーズとは

現行でのSONYのレンズには、コニカミノルタから受け継いだ、高性能レンズ「Gレンズ(G)」とカール ツァイスとソニーの共同開発で生まれた「ZEISS レンズ(ZA)」そして今回紹介する、SONY独自の技術により開発された「G Master(GM)」がある。

SONY FE 135mm F1.8 GM
SONY FE 135mm F1.8 GM

従来SONYがハイエンドユーザー向けといていた「Gレンズ」よりも更に上位グレードモデルとして開発されたのがGMシリーズで、現行のラインナップでは最高峰レンズとして位置付けられている。

簡単な話、現在SONYが持つ全ての技術を結集して開発されたのが「GMシリーズ」。コンセプトの一つに、「未来を見据えた高性能なレンズ」とあり、10年後のカメラボディに使用しても満足して使えるように開発されている。

驚異のポテンシャルを秘めた「FE 135mm F1.8 GM」

名称FE 135mm F1.8 GM
レンズマウントソニー Eマウント
対応撮像画面サイズ35mmフルサイズ
焦点距離135mm
絞り値F1.8(開放絞り) F22(最小絞り)
最短撮影距離0.7m(AF時)  
最大撮影倍率0.25(AF時)  
画角18°
レンズ構成10群13枚
フィルター径82mm
質量950g

概要はこんな感じ。勿論この表だけでは分からないのだけれど、ボケ味の良さとAFは恐ろしく良かった。ピントリングなどもあるので、絞りの調整も感覚的に行える。価格は決して安くは無いのだけれど、買って後悔は全くしていない。それだけのポテンシャルを感じるレンズだ。

鏡胴に光るオレンジ色のGMロゴ
鏡胴に光るオレンジ色のGMロゴ

ついつい開放で撮影したくなる明るい望遠レンズ

ここからは作例を見ながら紹介していこうと思う。レタッチはLightroom。
望遠レンズと言えば、どうしても写真全体が暗くなってしまうイメージがあったが、開放F値1.8の大口径レンズというだけあり、写真全体が明るく仕上がる。

出会いと別れの季節
出会いと別れの季節
傍に咲くコスモス
傍に咲くコスモス

135mmと聞くと、ポートレートを連想しがちだが、花を撮影しても楽しい。花の雰囲気に合わせて、ふんわりと優しい仕上がりにすることが出来る。

千葉から望む神奈川の光
千葉から望む神奈川の光

ISO1600、SS1/60で撮影。10月の夕方18時頃の写真だが、手持ちでも問題なく撮影できた。写真を拡大するとノイズも見られるが、個人的には作品としては許容範囲。むしろ小さなノイズがマットな質感のようで、それはそれで落ち着きがあって良い。

「F値の大きい暗いのレンズ」でも、ISOを上げれば暗所でも撮影は出来なくもないが、どうしてもノイズが荒くなってしまう。その為、作品として生かすのが難しくなってしまう訳だが、F1.8の「F値の小さい明るいレンズ」なら、ノイズを最小限に抑えられるので、撮影の幅は間違いなく広がる。

異次元のボケ味と描写力

元々このレンズのボケ味の素晴らしさは耳にしていたが、百聞は一見にしかず、実際に自分で触って見ると想像以上のボケ味だった。

もうなんか合成みたいにボケる
もうなんか合成みたいにボケる

僕の中で衝撃が走った一枚の写真。このボケ具合やばくないですか…背景のとろけるような大きなボケがとにかく美しい。本当に感動するレベルだった。ボケがイマイチなレンズでありがちな「二線ボケ」も全く見られない。また光に照らされたフードの毛一本一本まで、綺麗に描写されている。

作品としてはぼかし過ぎで合成みたいになってるけど、このレンズの特徴が良く現れた写真だと思う。やはりポートレートは、被写体を目立たせたいので、大きくぼかして撮影したい。

ボケの階調も美しい
ボケの階調も美しい

ボケ味もだが、ボケの階調も非常に美しい。モデルさんの後ろのサッシに注目して頂きたい。手前から奥にかけて、段々とボケが大きくなっていくのが分かる。その滑らかな階調が自然で美しいボケを作り出す。

被写体に視線を誘導する
被写体に視線を誘導する

それなりに遠い位置から撮影した写真。背景が騒がしい写真だが、被写体にフォーカスを合わせ、前後をぼかすことにより、立体感が出て自然と人物に視線誘導することができる。距離のあるポートレート撮影では、全体にピントが合ってしまう為、この距離でボケを使えるのは間違いなくF1.8の強みと言える。

大きいボケで背景を整理する
大きいボケで背景を整理する

こちらの写真も背景が賑やかだが、大きくぼかす事により、なるべくシンプルな描写になる。そうすれば自然と被写体に視線が移る。せっかくポートレートを撮るからには、被写体を強調して撮影がしたい。そんな時は背景をぼかして整理するのも手段の一つ。

「カメラの腕が上達したと錯覚してしまう程の描写力」このレンズが頻繁に言われているフレーズなのだが、実際にこのレンズを使用してみて納得した。こりゃ錯覚しますわ。

一瞬を逃さない。優秀すぎるAF性能

AFによるピント合わせがとにかく速い。尚且つ正確。感覚で言うと、シャッター半押しをした時点で既にピントが合っている感じ。フワ〜っとするピント合わせの時間が全くないので、ストレス無くサクサク撮影することができる。

花が散る一瞬すら逃さない
花が散る一瞬すら逃さない

桜の撮影を終え、駐車場へ歩いている途中、急に風が吹き桜が吹雪いた。カメラの電源をONにしてから慌てて撮影をしたが、余裕で間に合った。それほどにAFのピント合わせが早く、撮りたい瞬間を逃さない。

高解像度と優秀な接写性能でマクロレンズような使い方もできる

焦点距が135mmと歴とした望遠レンズな訳だが、最短撮影距離は70㎝、最大撮影倍率0.25倍と優れた接写能力を発揮してくれるので、マクロレンズのような使い方も出来る。ただし、実際はマクロレンズの1/4の程度の接写能力なので、あくまでも「マクロレンズのような」としておく。

70㎝の距離から撮影
70㎝の距離から撮影
上写真の中央を切り取る
上写真の中央を切り取る

上写真をクロップしてみる。桜の花脈がしっかりと映し出されている。植物の茎に生えている生毛まで捕らえている。このレンズの解像性能の高さが窺える。

ここまで拡大すると、多少ノイズは気になるが、写真としては許容範囲内。逆にこの解像度を生かして、写真をクロップすれば、それこそマクロレンズの代用として使うことができる。

作例

このレンズで撮影した写真たち。こんな感じかぁ程度に参考にして頂けると幸いです。
湘南の光
海と戯れる
秋を振り返る
秋を感じる
春のお散歩
家族と桜
工場と桜

このレンズを使ってみて気になった点

このレンズを持って一日中動き回るのは結構体力がいる。カメラレンズ内部に何枚もレンズが内蔵されているので、重たくなってしまうのは仕方ない。しかし重量が950gもあるので、体力や力に自信がない人は、購入前に一度手に取ってみた方が良いかもしれない。

また、寄りのポートレートを開放F値で撮影する際に、ボケが強すぎて、瞳にピントを合わせた時に、鼻などの顔の一部がボケてしまったりすることがある。そんな時は、少しだけF値を大きくして、ボケを小さくしてあげると、顔全体にピントを合わせることが出来る。

一日が終わる
一日が終わる

そして、最初のうちは135mmの構図に慣れる必要がある。冒頭でも話した通り、元々スナップ写真を好んでいたので、今まで望遠レンズに触れることも滅多に無かったのだが、その画角の狭さに驚いた。ある程度使えば慣れてくるが、構図を頭の中でイメージ出来るようになるまでは、取っ付きにくいかもしれない。

最後の構図の話は、僕の経験不足なので、レンズ云々と言うよりは、僕の体験談的な要素として、参考にして頂ければと思います。

まとめ

レンズの性能自体は間違いなく最高クラスなので、135mmの画角やぼかし方に慣れてしまえば、撮影していて本当に楽しい。ボケを自由にコントロールできること、素早いAF駆動、暗所でも安定して撮影出来る安心感など、ストレスなく使用することが出来る。

あと個人的にこのレンズでの写真編集時に嬉しかったのは、フリンジがあまり気にならない。全く写らない訳ではないが、コントラストの強い部分でも最小限に抑えているような写りになるので、編集が結構楽に感じた。

このように機能面では、ほぼ欠点が見当たらないようなレンズなので、あとは使い手次第で、とんでもなく化けるレンズだと思った。今後は今以上に、画角やぼかし方を掴んで、このレンズで最高の一枚を追求していきたい。

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