カメラにも上達する方法は幾つかあると思っている。とにかく何でも良いから写真を撮って撮りまくりなさい。僕も過去に教えられた写真上達法だ。
最初のうちはこの方法で上手くなるのだけれど、夢中で撮影しているとどうしてもこの写真どうなんだろう?と気付きにくかったりすることもある。
今回はそんな盲点になりがちな絞り値(F値)の落とし穴について自分なりに解説しようと思う。念のために書いておくけれど、あくまで主観的な話なので写真の良い悪いと言うよりは何かしらの気付きがあれば嬉しい。
絞り(F値)とは
絞りとはレンズに内蔵されている羽を動かすことにより、通過する光の量を調節する機能のこと。被写界深度によるボケの調整もF値の設定で決まる。
ついつい撮影してしまう開放絞りの魅力
開放絞りは明るくなるし良くボケるので写真にメリハリが付くので撮っていて楽しいんですよね〜…。僕も非常に良くわかります。
僕がついつい開放絞りで撮影してしまっていた理由を解説していこうと思う。
ハイキー(明るい写真)にすると写真映えする
ハイキーな写真ってフワッと優しくて温かい印象の写真になるので良いですよね。僕もハイキーな写真好きです。ローキーだと意図した雰囲気を伝えられないと何の写真か分かりずらかったりしてしまうのでハイキーな写真に頼りがちになってしまったり。
画質低下の為、なるべくISO感度も上げたくないし、そうなるとF値かシャッタースピードで明るくしようとするのだけど、やはりついつい開放絞りで撮影してしまっていたのを覚えている。
大きくボカすと立体感が生まれて写真が上達した気になる
大きくボケた写真って不思議と上手い写真に見えたりする気がする人も多いのではないだろうか。開放絞りで撮影し、背景のボケを大きくすることによって被写体が浮き出て見えるようになり、被写体と背景の切り分けというか、被写体の立体感に感動した人も一定数いるのではず。
この感動を味わってしまうとカメラが上手くなったと錯覚してしまい、何でもかんでも大きくボカした写真が正解と思い込んでしまう人もいるだろう(経験済み)。
カメラ上達のコツ!僕が開放絞りで撮らなくなった理由
厳密に言ってしまえば上達のコツというよりも写真に対する考え方なので、どこまでこの見出しが皆に当てはまるかは分からないけれど、何かしらのきっかけになればと思っている。
開放絞りでボカし過ぎることにより背景がよく分からない
今回は話を分かりやすくする為にモデルさんがいるポートレート撮影の程で話を進めさせてもらう。
ポートレート撮影などをしているとどうしてもモデルさんにばかり注視してしまい背景が疎かになってしまうことがある。被写体を際立たせる為についつい開放絞りで撮影してしまう人も意外と多いのではないだろうか。
この時にあるあるなのが、ボカし過ぎて背景がよく分からないことになってしまっているということ。
この写真なんかまさにで雰囲気は好きなのに背景をボカし過ぎて良く分からなくなってしまっている(山なんてモワンモワンしてるし)。
被写体ばかり気にしているとこういったミスが起きる。なので撮影したらその場での確認は必須だし、この場合F値を大きくすれば海も山ももう少し分かる写真となったと思う。
こんな感じで開放絞りで撮影していたら背景は疎かになってしまい、せっかく選んだロケーションを活かしきれていなかった…なんて後々後悔した経験のある人もいると思う。これこそが開放絞りの思わぬ落とし穴だと思っている。
気づいたら白飛びしていて修正できなくなっていた
もう一つ開放絞りの落とし穴といえば白飛びだ。白飛びとは、露出が高すぎると発生してしまう現象のことで、明るすぎるとイメージセンサーが色を捉えきれずに白くなってしまうこと。
また白くなってしまった部分は情報が残らないので、後でレタッチ(写真編集)をしようとした時に加工が一切できなくなってしまう。
開放絞りでの撮影は、レンズ内の羽根を最も大きく開放した状態なので、光が大量にイメージセンサーに入ってきてしまい白飛びしてしまう可能性が高まってしまう。
これも被写体にばかり気を取られていて背景が疎かになってしまい、後で気付いたら背景が白飛びしてしまっていて、どうしようもできない状態となってしまう。
開放絞りの落とし穴に気付いてから撮影が変わった
昔は開放絞りで明るくてボケボケな写真ばかり撮っていたのだけれど、開放絞りの落とし穴を知ってから自分の中での撮影や写真の観点も変わった。
常に背景のボケ感に疑いを持つ癖をが付いた
絞り開放の落とし穴を知って以降、何でもかんでも絞り開放で撮影する癖はだいぶ解消されたと思う。そして意識的に行えるようになったのは背景のボケ具合に疑いを持てるようになった。
背景に写っている灯台はもっと分かりやすく見えるくらいのボケ具合にしておこうとか、山や海の輪郭が分かるくらいのボカし方にしようとか。背景や空は白飛びしていないかなど。
良くいえば背景にも気配りできる余裕みたいのは生まれた。まぁそれでももっとこうしておけば良かった…とかは絶えないのだけどね(笑)
頻繁に使うF値のバリエーションが増えた
普段はF1.4やF1.8などの明るいレンズを使うことが多い。そして開放絞りで撮影するか風景ならF8前後で撮影していたのだけれど、F値を使い分けるバリエーションが増えた。
なかでもF3.5・F4.5・F5.6らへんのF値を頻繁に使うようになった。勿論ロケーションにもよるけど、ここらへんのF値を選ぶとボケ過ぎず程よいボケ感となる。
大きくボケるレンズも性能に頼りすぎると背景が良く分からない写真となってしまうので、F値のバリエーションを増やすことによって背景にあるロケーションや雰囲気を壊さないようなボケの選び方をできるようになった。
開放絞りは悪ではない、要は使い所!
ここまで開放絞りは悪!みたいな話の内容になってしまったのだけれど、それは僕が開放絞りに頼った撮影をやめた理由などを分かりやすくする為であり、開放絞りは決して悪い撮影手段ではない。本当に使い所だと思っている。
ロケーション(被写体との距離がある程度離れている場合など)によっては開放絞りで撮影することだってあるし、開放絞りにすることでシャッタースピードだって稼ぐこともできる。それこそ背景に写したくないモノがあれば開放絞りで大きくボカして撮影もする。
開放絞りは決して悪くはない。自分の中でF値を正しく選択して使えているか、ベラベラとここまで書いたけれど案外それだけの話だったりする。
まとめ
今回は開放絞りの落とし穴についての話をしてみた。大きくボカして撮影する写真は上手くなった気がするので、なかなか気付けない部分だったりする。
良くボケるレンズの性能に頼ってないか、背景にまで気を配れているか、F値を使い分けられているか、僕自身気づくまで時間のかかった痛いところを色々と記してみた。
ハイキーや大きなボケを好んで撮影する人も多いと思うので、中には今回の記事を読んで気を悪くする人もいるかもしれない。
冒頭にも記した通り、あくまでも作品はその人の自由。今回の記事により、今までの撮影思考だったり何かしらの気付きや変化のきっかけとなったら嬉しく思う。
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